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胃集団検診受診者の調査
永沢 滋
1
,
高橋 政祺
1
1日本大学医学部病院管理学教室
pp.31-39
発行日 1963年9月1日
Published Date 1963/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202194
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まえがき
かつて人類の死因の最大のものは感染症であったが,免疫法の進歩による予防対策の確立や抗生剤の発見などによって,これによる死亡は激減してきている。これに反し成人病と呼ばれる一群の疾患は難治であり,時には不治であり,感染症対策に燭光を見出した人々は再びこの黒い蔭におびえるようになった。
そこで病院も人間ドックという方法で,中年以降の人を定期検診することにより成人病の予防または早期発見を行なう体制をととのえるに至った。しかしこの一週間に及ぶ検査のための入院は時間および経費の点で誰でも行なえるというものではない。このためその半分の日数の短期ドックが作られ,さらに通院による外来ドックなども考えられている。このような病院の予防医学活動はその対象を来院患者だけに止めておかず,外に出張する集団検診という形のものにまで発展してきている。このように地区の保健の問題と結びついた病院の公衆衛生活動は,在来の病院サービスの概念を越えたもので最近注目されているものである。これは病院の性格つまり地域社会との結びつき方によって,どの程度までこの分野を拡充するかがきまってくる。その地域社会の住民の健康の保持を目的として設立された公立病院であれば,当然この活動は活発化しなければならない。また大学病院のようなものはこれを側面から援助し指導する意味で大いに活躍したいものである。
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