病院長プロフイル・43
東京警察病院長 塩澤総一氏
pp.296
発行日 1957年5月1日
Published Date 1957/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201226
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人国記によれば,由来信州人は自負心が高く,柔弱にして臆したるものを好まず,侃々諤々の論を唱えるのが特徴である。同じ信州といつても,「天竜下れば」の伊那の谷の人は関西文化に影響されて,山岳信州人特有の峻烈さを隠し,機略縦横,智謀に長じているとのことである。塩沢総一先生は仙台二高,東大医学部の学生生活稲田内科医局員から坂口内科の講師,助教授としての学究生活,東京都医師会長,日本医師会副会長の医政関与欧米視察等の環境によつて,文化人としての今日の東京警察病院長になられたのであろうが,その体内には,信州,伊那谷,飯田出身の血液が今日も流れているようである。
先般病院の改築に際して,「屋上には患者運搬用のヘリコプターが離着できるようにしよう」と,言い出された。どうも院長は大きなことを言つて困るというのが周囲の声であつた。此頃院内を改装し,病室の壁を塗り,床を張り,新しい検査,治療の器械を買込むのをみて,苦しい財政の中で何をやるのか知らんと雑音が先生の耳にも入つてくるらしい。
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