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社会保障の一般的概念(2)—社会保険
一条 勝夫
1
1東北大学
pp.25-31
発行日 1956年3月1日
Published Date 1956/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201076
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4.社会保険
社会保険は,身体的な事故,経済的な事故によつて緊急の出費を要したり,収入が途絶えたりした場合にもなお従来の生活水準を維持できるよう当人が余裕のある時期に備えておく危険分散計画である。長い人生にあつて,収入のある時期とない時期,家族負担の多いときと少いとき,健康なときと傷病にかかつたとき,又本人死亡後の家族の生活など,予想される生活不安に対して事前に備え,貧窮に陥らぬよう損害の時期的,社会的平均化を計るものである。即ちそれは自分1人だけの貯蓄ではなく,社会成員各自の利害の均衡の上に立てられた社会的な理性的提携である。そして又単に経済的損失を埋合わせるだけの私保険と違つて,国民すべての生活不安を解消しようとする国家の社会政策の一つである。
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