病院長プロフイル・14
病院管理のVeteran篠崎哲四郞氏(国立大村病院長)
pp.52
発行日 1954年8月1日
Published Date 1954/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200850
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長崎県大村市を御存じなくても,渡洋爆撃の航空基地だつた大村といえば,ハハーと思い当る人は多いだろう,そこの旧海軍病院は今の国立大村病院の前身である。其の昔,西洋医学発祥の地とはいえ,日本の涯の国立病院長が今日の日本医界に大きな睨みを利かしているのは何故だろうか。
京城帝大教授として第三内科を主宰し,中枢神経,特に間脳の研究で世界的であることは学者としての博士の一面だが,他面病院管理について京城帝大医学部附属病院長として敏腕をふるい,又京城府立府民病院,平康高地療養所の創設に参画してそれぞれの初代院長,初代所長として施設の基礎を築きあげ,終戦後は九州にあつて国立大村病院長の外に一時は国立川棚病院長,国立長崎病院長,国立福岡療養所長其の他の療養所長を兼ねるとゆう,ちよつと想像も及ぼない多忙な病院運営を終戦直後の困難な時代にあつてまことに鮮かに切り廻した。博士が国立大村病院の拡充発展に力を惜しまないのはもとより当然のことだが,氏の目指す所は一国立病院についてではない,日本の医療機関を国際的水準に持つて行きたいとゆう念願である。戦後の日本の現状にあつて国際的とゆう言葉はいささか空想的な響があるが,その説く所をよく聞くものは論拠の資料が正確豊富であり,理路整然,而も熱情のこもつた話術によつて何時しか同感し賛同せざるを得なくなる。
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