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病院管理者論—院長と事務長との関係について
村上 実
1
1別子病院経理係
pp.11-14
発行日 1953年5月1日
Published Date 1953/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200639
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1.
進駐軍占領下の好意ある医療行政のお蔭で,病院管理の考え方が一変しそれに伴つて病院の内容が飛躍的に改善されつつある趨勢は,社会福祉のために,洵に祝福されてよいことである。病院本来の在り方が"よい医師""よい設備""よいサービス"であり,終局するところ,"よい診療"でなければならぬことは,誰から教わらなくとも分り切つたことであるが,わが国従来の病院に対する考え方は,その分り切つた事柄が必ずしも分り切つたようには措置されていなかつたところに問題があつたのである。
"よい診療"を行うための要件として"よい医師""よい設備""よいサービス"の3項目を指摘したが,之等の事項に具体性をもたせてよい成果を招来する役割をもつものは外ならぬ管理者である。管理者は患者が—(どこが惡いにしても一種の精神病者である)—肉体的にも,精神的にも,経済的にも,時間的にも,その他何れの角度からも常に最もよいコンデイシヨンに置かれるように,すべての業務を,その一点に帰納するための操作を預る責任者である。
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