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屍体解剖台の構造について
野木 猛
pp.9-10
発行日 1953年5月1日
Published Date 1953/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200638
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戦前に造られた屍体解剖台は相当の費用を使つて造られたのも相当数あるが,戦後に造られた解剖台はまことに粗末なものが多い様に見受けられる。予算がない為か間に合せに造られたものと思う。然し建物の一部それも一寸した節約でもつとも重用な解剖台を使いやすい構造と,屍体を鄭重に扱う上からも建物以上に注意して造りたいものである。廻転式や移動式になると細部の設備に費用が掛るので固定式の簡単な解剖台の構造について図解して参考までに述べようと思う。第1図参照簡単でも使用目的に添う様に細部に注意してある。移動式又は廻転式は見学又は立会の場合,解剖室外から見える様に自由に位置方向を換える事も出来るが,給水及び排水設備が複雑な装置となる,固定式は給水排水設備共自由で簡単に再来る。
構造は解剖台の上端周囲に排水用の小溝を設け排水孔の際に腕押給水栓を取付ける。頭部の処の小溝には兩方に出る放水口を設け周囲排水小溝に解剖実施中少量の水を流し出して血液等を排水孔に導く設備とする。解剖台の中央面はわづかの丸味をつけ隆起せしめて周囲の小溝に血液又は水分を流し込ませる様にする。
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