特集 先端医療と病院
中部先端医療開発円環コンソーシアム
石黒 直樹
1
,
水野 正明
1
1名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター
キーワード:
ARO(academic research organization)
,
先端医療開発
,
ICT(information and communication technology)
,
前臨床研究
,
知的財産
Keyword:
ARO(academic research organization)
,
先端医療開発
,
ICT(information and communication technology)
,
前臨床研究
,
知的財産
pp.534-538
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102816
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■はじめに
先端医療の開発には常に一定のリスクが伴う.これは財政的な面,あるいは規制面であるかもしれない.また,開発途上での結果の不確実性による場合も決して無視できない.優秀なシーズも不均質な体制で開発を行ったが故に結果にばらつきが生じ,結局断念に至った例を知っている.さらに,開発時間の延長も大きな障害となる.症例の組み込みが遅れ,計画が達成できずに当初資金が底をつくというパターンである.企業治験ならまだしも,医師主導型治験では致命傷となる. 医療開発に関わる組織として確実な成果を期待するならば,いわゆる優良なシーズを多数揃えること,確実な症例を組み込むこと,迅速なデータ収集を可能にするネットワークがあり,さらに常にそれが活動していることなどが取り得る方策である.
また,このようなネットワークの存在は単にアカデミアの結合にとどまらず,産業界,社会にも注目されうる.当然,外部からのシーズ共同開発,支援などが一大学単独で活動するよりも受けやすくなることが期待される.
医療開発時に避けがたい様々な問題に対して,リスクを軽減し,迅速に進めるための仕組みがこの中部先端医療開発円環コンソーシアムである.そもそも,医療開発には開発拠点を設けて,集中的に進めるという考え方とネットワークを活用して進めるという考え方がある.それぞれの特長を生かした形で開発が進めば最もそれが効率的と言える.中部先端医療開発円環コンソーシアム(以下,コンソーシアム)はネットワーク型の医療開発組織である.現在までの活動と今後の展望について紹介する.
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