連載 ドラスティックな病院改革!~事務長の孤軍奮闘日誌~・5
新入職員採用と定着率の向上こそが病院生き残りのカギ!―~人材の確保に向けた悪戦苦闘の巻~
妹尾 朝子
1
1社会医療法人 光生病院 事務部
pp.654-657
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102332
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■光生病院を取り巻く環境と現実問題
光生病院は,岡山市内の高層マンションや商業施設が立ち並ぶ市街地に位置し,半径約3km圏内をぐるりと500床以上の大型急性期病院に取り囲まれている.岡山大学病院,川崎医科大学附属川崎病院,岡山市立市民病院,岡山済生会総合病院,岡山赤十字病院などが,自転車でわずか10分ほどの距離にあるのである.岡山市は2009年に政令指定都市へと移行し,70万人を超す人口の多くが市内中心部に密集し,人口当たりのベッド数が過剰地域と言われ,イマイチ機能分化ができていない.そして公的大型病院が多いのも特徴の1つと言える.そういった環境下で,光生病院は198床の民間中小病院として,地域に密着した地道な医療と介護を提供し続け,今年60周年を迎える.
大型急性期病院では,毎年数百人の単位で看護師などの医療従事者を採用している.国立病院や大学病院でなくても,自前の看護学校等を所有している病院などは,当然,学校との採用パイプが太くて強い.今般の制度改正に伴って,看護配置基準のランクアップを目指す病院も増えてきた.したがって,民間の中小病院にとって優秀な看護師の安定的な確保は可及的に厳しさを増しており,特に新卒の看護師採用に至っては,ハードルが高いというより,“絶望的”である.
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