連載 病院が変わるアフリカの今・8
エリトリアの挑戦―民生の安定は医療,そして5Sから
半田 祐二朗
1
,
鈴木 修一
2
,
三浦 義英
3
1北海道医療大学
2日本医科大学
3北海道医療大学
pp.598-599
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102320
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守りの国:エリトリア
深夜,首都アスマラの高原にある空港に,欧州の航空会社として唯一乗り入れるルフトハンザの旅客機が静かに下降する.上空から見る街は真っ暗だが,人々の暮らしの証として,電灯がまばらに見える.空港税関職員による,旧東欧の社会主義時代のような厳しい所持品検査・現金の検閲を終え,登録書類を書いて提出,入国審査を経て入国する.
この国は「守り」の国である.誇り高く,先進国の影響を拒むような雰囲気が感じられる.政治体制はリーダーシップの強い現大統領による実質的な独裁であるとの話だ.しかし,ひんやりした緊張感は空港を出るまでであり,街に立てば,そこはかつてのエチオピア連邦の落ち着いた一州都,今はエリトリアの首都である.標高2600mの街では時折行き交う自動車に追い越されながら,馬車が頻繁に通る.かつて植民地化を試みたイタリアが第2次大戦前に建設した建物が,くすんではいるが,今も立っている.
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