連載 病院ファイナンス・その後
新しい病院ファイナンス―地域医療連携体制の構築に「医療機関債」を活用
福永 肇
1,2
1藤田保健衛生大学 医療科学部
2藤田保健衛生大学 大学院 保健学研究科
pp.394-396
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102267
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■「医療機関債」のガイドライン改正
2012年3月7日の第27回社会保障審議会医療部会に,医療法人が発行する「医療機関債」を別の医療法人が購入する際のルール案が提出された1).これは医療法人が別の医療法人に融資等をするためのスキームとして厚生労働省(以下,厚労省)が提案したもので,社会保障審議会が了承している.厚労省は医療法人が他の医療法人に融資を行うことは「剰余金配当禁止の趣旨に照らして認められない」というスタンスにある.しかし地域医療連携の推進においては,連携先の医療法人へ資金援助を行う必要も出てくる.そこで厚労省は,融資が地域医療連携の分化・連携を推進し,医療機関自身の機能も維持・向上する場合には「剰余金配当禁止の主旨に反するものではないと考えられる」との解釈を提案する.結果,剰余金配当禁止の趣旨を堅持しつつ,医療機関債購入というスタイルでの融資が認められた.医療法人債の購入ルール案を表1に示す.これに伴い,厚労省は近く,医療機関債の現行2004年版ガイドライン2)を改正する.
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