特集 持つ病院,持たざる病院―法人制度から資金調達まで
直接金融に向けた取り組み―医療機関債発行事例
朝野 幸一郎
1
1カレス法人統括本部
pp.468-471
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100313
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2005 年 3 月,7 億円の医療機関債を,全額三井住友銀行を引き受け先として発行した.目的(資金使途)は,経営破綻した医療法人社団翰林会稲積公園病院の事業承継資金である.具体的には,土地建物の取得資金 4 億円および取得後の建物改装資金 3 億円となる.丸々 3 か月を費やしてリニューアル工事を施した後,同年 7 月に特定医療法人カレスサッポロ稲積記念病院ならびに稲積記念クリニックとして運営を開始している.
事業承継に至る経緯についてもう少し触れると,医療法人社団翰林会稲積公園病院は,道内唯一の肝臓専門病院として道内外から多数の肝臓疾患患者を引き受けていたが,診療報酬の不正受給が発覚,保険医療機関の指定が取り消され,事実上廃院を余儀なくされたことに端を発する.その後,受療者に対する当該地での医療継続を強く望む旧経営陣より,当法人に対して直接事業継承に関する要請を受けたのが縁で,この要請に応えるべく受療者および職員ならびに土地建物をそのまま引き受けたものである.
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