特集 患者の医療情報探索
メディアは医療情報をどう収集・発信するか
前村 聡
1
1日本経済新聞社 編集局 社会部
キーワード:
医療情報
,
病院ランキング
,
診療ガイドライン
,
治療実績
,
メディア
Keyword:
医療情報
,
病院ランキング
,
診療ガイドライン
,
治療実績
,
メディア
pp.267-271
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102239
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「どの病院で治療を受けるのがいいでしょうか」.医療担当の記者をしていて読者から多く寄せられる質問だ.インターネットの普及により,10年余りで患者や家族が入手できる医療情報は飛躍的に増えたものの,氾濫する情報に困惑する人が多いのも事実だ.私たちメディアは新聞や放送,そしてインターネットというそれぞれの媒体の特徴を生かして,患者や家族が必要な情報を選び,わかりやすく伝える役割がますます求められている.
では,私たちメディアは医療情報をどう収集して,どう発信しているのだろうか.私を含めて新聞やテレビなど大手メディアで医療を担当している記者のほとんどは,医師,看護師,薬剤師など医療の有資格者ではない.有資格者の記者もわずかにいるものの,臨床経験がないことが多く,臨床経験があったとしてもテレビやマンガで登場する“スーパードクター”のようにあらゆる疾患の最新情報に精通しているわけではない.一方,患者経験があったり,家族や友人などが患者だったりする記者は少なくない.だが体系的な医学知識はなく,特定の疾患に知識は偏りがちだ.さらに,有資格者や患者,その家族の記者であったとしても,2年に1度大幅に改定される診療報酬など,変化を続ける複雑な日本の医療制度の仕組みに詳しい人は少ないのが現状だ.
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