連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第204回
競争力強化の手段としての病院建築―韓国病院建築の動向
尹 世遠
1
1鹿島建設株式会社 医療福祉推進部
pp.76-83
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102188
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2011年3月,韓国医療福祉施設学会の協力により,韓国のいくつかの医療福祉施設を視察する機会を得た.韓国では近年,超大型病院の建設が相次ぎ,医療福祉建築の質の向上が著しく,たびたび話題となっている.本稿では,近年建設された超大型病院を紹介し,韓国の病院建築の動向について考えてみたい.
まず,韓国の医療制度について簡単に確認しておくと,1963年に医療保険法が制定され,1989年に国民皆保険が実現された.2008年には日本の介護保険に該当する「高齢者長期療養保険」を実施する.このように,制度は比較的近年に整備されたのだが,こうした動きを反映するかのように,医療施設は量・質ともに急増している.この10年間で,診療所・薬局などを含む医療施設数は61,776から81,681に増加し,病院について見ると,一般病院は2倍近く,療養病院にいたっては40倍以上増加している(表1)1).
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