特集 今後の病院の財政基盤を問う
巻頭言
猪口雄二
pp.181
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102034
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昨今,財務内容の情報公開は上場企業,公益法人等,活動の場を問わず企業の責務となりつつある.医療においてもこの方向性は同様であり,財務内容の情報公開が非営利の前提であるといわれている.一方,財務内容の情報整理は新病院会計準則により,公私を問わず統一化の方向にある.近年中に,公立病院と民間病院の財務的比較は容易なものとなろう.
それでは財政基盤,特に資金調達からみた場合,病院はどのような立場に置かれるのであろう.民間病院の場合,資金調達は銀行からの融資,社会福祉・医療事業団(現独立行政法人福祉医療機構)からの融資が主体であった.公立病院の場合は,主として国,都道府県,自治体等からの助成金や負担金が主体であった.ところが,不良債権処理にかかわる企業格付けにより多くの病院が貸し渋りや貸し剥がしにあっており,この様は一般の中小企業と同様の扱いとなっている.一方,国,都道府県,自治体も財政が悪化しており,公立病院への助成金に耐えられず,民間への売却を行っている例も散見される.
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