特集 医療に求められるイノベーション
巻頭言
広井 良典
1
1千葉大学法経学部
pp.109
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101112
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
しばらく前から,日本社会の現状や将来についてのマイナスな話題や報道等が基調となり,閉塞感といった言葉がよく使われるようになってからも久しくなっている.振り返れば戦後の日本は“焼け跡”から出発した後,ひたすら経済成長あるいはパイの拡大ということを目標にひた走ってきたが,物質的な需要が飽和しつつある中である種の大きな曲がり角に来ていることは確かである.加えて高度成長期には一定の好循環をもたらした社会システムが,少なからず“固まり”,機能不全を見せていることも事実である.
こうした状況に対し,「新たな経済成長」や“底上げ戦略”を唱える声もあり,それ自体は重要なことと思われるが,同時にこれからの日本社会の新たな展望が,従来の成長路線の単純な延長にはないこともまた銘記しなければならない.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.