特別寄稿
世界の新潮流「第三の道修正」で「分権と委託」による大きな社会づくりへ
森下 正之
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1医療系NPOシンクタンク標準医療情報センター
キーワード:
大きな社会
,
病院PFI
,
GP協同組合
,
LCC
,
ハードFM
Keyword:
大きな社会
,
病院PFI
,
GP協同組合
,
LCC
,
ハードFM
pp.981-984
発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101844
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今回で13年目に入った英国医療PFI(Private Finance Initiative)の追跡調査において,世界に大きな衝撃を与えると実感したことがある.それは前評判の低い新連立政権に起因する刺激と混乱である.英国で本年5月に誕生した新連立政権は100日を過ぎ,「分権と大きな社会建設(Big Society)確立」のビジョンの明確性と急進的改革の枠組みに基づき,ぶれない確固たる政治姿勢を保ち,「政治権力の掌握に成功しつつある」との評価が英国をはじめ他の先進諸国で定着し始めている.
振り返って見ると,同様な現象として1945年のアトリー労働党政権の「ベヴァレッジ福祉政策」や1980年代のサッチャー保守党政権の「民営化政策」が,日本は無論,他の先進諸国に大きな影響を与えたことが挙げられる.キャメロン・クレッグ連立政権は「分権化と大きな社会確立」のビジョンの下,財政再建と中央政府によるトップダウン意思決定の縮減を宣言し,国の権限を大幅に削減し,地方自治体,地域社会,家庭(患者)への大胆な権限移譲を掲げている.徹底的改革を行う主対象としては,教育,警察,NHS,福祉の4分野を明示し,分権化政策実施を後述の「大きな社会」政策と連携により推進すると述べている.
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