特集 医療の拡大がもたらす社会の厚生―医療費亡国論再考
【論文集】適切な医療の拡大がもたらす社会の厚生
IT投資の有効性の視点から
大江 和彦
1
1東京大学大学院医学系研究科 医療情報経済学分野
キーワード:
医療情報システム
,
電子カルテ
,
医療のIT化
,
IT投資
,
医療政策
Keyword:
医療情報システム
,
電子カルテ
,
医療のIT化
,
IT投資
,
医療政策
pp.269-274
発行日 2010年4月1日
Published Date 2010/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101670
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医療におけるITというと,診療報酬請求書(レセプト)のコンピュータによる作成,電子レセプト請求,オーダリングシステム,電子カルテ,画像管理システム(PACS)など,1医療機関内のデータ管理や処理のためのシステム導入がその代表的なものであろう.さらに,地域の医療機関同士で電子データにより診療情報をインターネット上で共有する地域医療情報ネットや,遠隔医療の一種であるテレパソロジーなども一部で試みられている.
これら医療情報システムのメリットはこれまで,診療データの効率的かつ正確な管理や事務管理の効率化,診療データの共有による診療の質の向上や利用の効率化,医療全体の事務コストの削減,国全体での医療の効率的な分析,臨床研究のデータ収集と管理などに大きく貢献するものであり,国家的に推進していくことが必要であることが謳われてきた.実際,2001年に厚労省は保健医療分野の情報化に向けてグランドデザインを策定し,その後も政府のIT戦略本部の下で策定されるe-Japan戦略やi-Japan戦略1)をベースとした医療IT戦略が打ち出され,医療IT整備に向けた種々の進展があったと言える.
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