連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第170回
宏仁会高坂醫院
久保田 秀男
1
1広島国際大学工学部
pp.270-274
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101417
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■患者と家族のために
埼玉県比企郡小川町にある宏仁会小川病院が,他2か所に展開している人工透析を主体とした診療所の新築移転である.拙著『患者に選ばれる病院づくり』(じほう,2001年)と『病院の改善と運営改善へのヒント』(同,2003年)を読まれた北川宏理事長より,「患者と家族のための医療施設をつくりたい」との思いを綴られた長いお手紙を頂き,何度かの「文通」の後,大学のある広島まで来られ,新クリニックの設計にかかわらせていただくこととなった.
診療所を有床にすることは,昨今の厳しい医療環境の中では,時代に逆行するものであったが,病院にも福祉施設にも入れなくて困っている患者さんが多くおられるので,そうした方たちが安心して入れるところをつくりたい,という理事長の思いによる.折しも設計途上で,将来的に療養病床が減床され,それに伴い医療法人が有料老人ホームを経営できるようになったのは,理事長のこの思いにまさしく合致したことであり,迷いなく決断され,かくして,将来有料老人ホームなどの高齢者の「居住施設」にも転用できることを視野に入れての設計となった.
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