連載 リレーエッセイ 医療の現場から
古武術に学ぶ「一器多用」の介護技術
岡田 慎一郎
pp.663
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101249
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古武術と介護,ほとんどの方がまったく接点がないように思われるだろう.しかし近年,武術研究家・甲野善紀氏が提唱する「うねらない,ためない,ひねらない」に代表される,現代運動理論の正反対を行く古武術を基盤とした身体運用・発想の転換が,スポーツや音楽,舞踊,介護など幅広い分野から注目を集めている.私は数年前より甲野氏から身体運用理論を学び,身体に負担をかけない介助技術を実践的に研究する活動を行っている.
私は武術家ではないし,甲野氏が行っているのも古流の武術を研究材料とした独自のものであって,正確には古武術ではないのだが,古流の武術からヒントを得たという意味で,「古武術介護」と名付けている(これまた正確に言えばニックネームであり,本来ならば「武術的身体運用を参考に,身体介護技術の質的改善を目指すもの」と言えるだろう).詳しい介護技術の理論は拙著『古武術介護入門』(医学書院)に譲るとして,ここでは武術的な発想が介護技術に与える影響を紹介したいと思う.
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