連載 ヘルスケアと緑・5
砂漠の水
浅野 房世
1
1東京農業大学農学部バイオセラピー学科園芸(植物介在)療法学研究室
pp.382-383
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101179
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今回紹介する病院の庭は,米国アリゾナ州フェニックスにある,バナー・グッド・サマリタン医療センター(Banner Good Samaritan Medical Center)の庭である.グッド・サマリタンとは,新約聖書(ルカによる福音書第10章29~37節)に記された“よきサマリア人”のことである.強盗に傷つけられ道に倒れていた者を,通りすがりの身分の高い者たちは,みな気づかぬふりをして通り過ぎていったが,少数民族であったサマリア人は,旅の途中にもかかわらず手厚く介護したという喩え話である.この喩え話は,「自らが不利益をこうむるリスクを顧みず,人を助けようとする行為」を指し示している.ちなみに,アメリカには「よきサマリア人法」(急病やけが人などを救うために行動した場合,たとえ失敗しても責任を問われない)が,ほとんどの州で導入されている.
このミッションを病院の冠としたグッド・サマリタン病院は全米に存在するが,本ガーデンを有する当院は,典型的な砂漠気候地域であるアリゾナ州フェニックス郊外にある.650床のベッドを有し,救急救命はもちろんのこと,整形外科や臓器移植を含む外科やリハビリテーション科をはじめ,がんや心臓病のみならず,様々な病気の専門医を抱える総合病院である.
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