映画紹介
デイズニーの"砂漠は生きている"を観て
K
pp.70-71
発行日 1955年5月1日
Published Date 1955/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200855
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ウオルト・デイズニーといえば,平素あまり映画を見ない私でも,ああ,あの有名な漫画映画の作者かと知つている.その力作といわれている「白雪姫」や,「バンビ」などという義事な映画は,私も子供と1緒に観に行つた.スバラシク綺麗だ,可愛らしい,面白いと感心させられはしたものの,何だか,これだけのものを作るのに,1体どれ位手間やお金がかかるのかしら,トモカクも大変なことだなあ—と貧乏国の貧乏人らしいことを考えたことが今なお印象に残っている.
ところが,今度,「砂漠は生きている」という,ディズニー映画を見た.今度の映画も大変な手間と,大変なお金がかかっていることは間違いないと見た.しかし今度はそんなことはちつとも印象に残らない.ただただ感心させられてしまった.ああ良い映画を見た.映画というものには,こんなスバラシイ力があるものかなあと歓んだのであつた.映画などを論ずる資格のない私であることは,自らよく知っているが,この「砂漢は生きている」を観て感じたことを一寸述べてみよう.映画には文芸的な映画・演劇的な映画・音楽的な映画など所謂芸術的な映画と科学的な映画があるが,今日まで,否今日でもなお,更に今後とも芸術的映画が主流であつて,科学映画というものは僅かにこれと並んで存在するというに過ぎないものであるように考えられる.科学映画の価値は高く評価すべきであるが,何といつても映画全体の中でに大きな存在とはいえないように思われる.
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