連載 医療動向フォーラム
■DPCの今後を予測する・3
DPC病棟と非DPC病棟の棲み分けや診療報酬のあり方(1)―10年後の3つのシナリオ
高橋 泰
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1国際医療福祉大学医療経営管理学科
pp.872-873
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101041
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●日本DPC協議会の基本スタンス
現在多くの医療関係者は,「DPC病院≒急性期医療を担う病院」として国が急性期医療を担う病院を選別し始めていると感じ,「DPCに参入しなければ,将来的に急性期医療を行えなくなるかもしれない」という漠然とした不安を抱いている.その結果,2007年度のDPC準備病院の募集において国が当初DPC病院と想定した「地域の基幹となる急性期病院」に該当しないと思われる多くの病院が,準備不十分のまま調査への参加を表明したようだ.
一方,DPCに参入していないが,一般病床を継続して運営したいと考えている医療機関も,日本の医療提供体制の今後の展望が不鮮明であり,不安を感じている.国は早期に,少子高齢化社会を睨んだ10年後,20年後の医療提供体制のビジョンを医療機関に提示すべきだろうが,医療提供者側も国や社会に対して,医療機関側が将来的な望ましいと思われる医療提供体制のビジョンを提案することも大切であろう.
このような時代背景を踏まえ,今回日本DPC協議会は政策提言部会〔部会長:松木高雪新日鉄室蘭総合病院副院長〕を立ち上げ,「DPCのあるべき姿への提言」を作成した.今回の提言の基本姿勢は,医療の質を保ち,医療の効率化,透明化を推進するという国が目指す政策の推進に貢献するものであるが,実施された場合,他の選択肢が実施される場合より現場の混乱が少ないDPCの改定案を提言するということである.
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