連載 病院管理フォーラム
薬剤経済評価・2
薬剤経済評価の原理
井上 忠夫
1
Tadao Inoue
1
1聖路加国際病院
pp.693-695
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100874
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薬剤経済評価は,臨床現場における医療システムと社会に対して,薬物治療のコストと価値を提供するサイエンスである.薬剤経済評価が臨床の現場で使われる時,薬剤師は,結果とコストに対して,どのような選択が最適な結果を得るかを決定しなければならない.
コストと結果を評価する前に,評価を行う立場が決定されなければならない.薬剤経済評価において可能性のある立場とは,患者,所属部署,病院,政府,第三者である支払機関,または社会に対しての立場である.例えば,病院側の立場から見た抗がん剤の価値は,患者側の立場から見るこの薬剤の価値とは大きく異なることがあり得る.なぜなら,病院側の立場から見た価値は奏効率や生存率当たりに要した金額の値で表現されるかもしれないが,患者にとっては生活の質,すなわち快適度で評価した余命の年数に対して支払う金額の値によって表現される.
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