連載 病院管理フォーラム
薬剤経済評価・6
薬剤経済学の臨床への応用④―H2受容体拮抗薬の薬剤経済評価
井上 忠夫
1
Tadao Inoue
1
1聖路加国際病院
pp.1016-1018
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100942
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上部消化管出血の治療に際しては,内視鏡下で出血巣の確認や状態を評価し静脈瘤性か非静脈瘤性かを見極めたうえで,治療方針を検討していることが通常行われる.
一般に薬物療法を必要とするのは非静脈瘤性の出血で,純エタノールやクリップによる止血術が行われた後に薬物療法に移行する.薬剤としてはプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor : PPI)のほかにH2 受容体拮抗薬(H2 receptor antagonist : H2RA)が汎用され,H2RA投与3日後には約70~90%の確率で止血することがわかっている.当然薬剤の中で PPI は約90%の止血率をもつと言われているが,その価格はH2RA の約4倍程度あり第一選択剤として使用するには高価な薬剤となる.また,各H2RA 薬剤間では止血率は拮抗しているものの,本邦における知名度の点から famotidine が汎用されている.なお,H2RA の中では famotidine が403円(平成15年4月薬価ベース)で最も薬価が高い.
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