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ソーシャルワーカーの業務とその目的
ピースハウス病院は22ベッドの病院で,すべてのベッドをホスピスケアに当てている.このようなホスピスの形態は独立型(free standing)と呼ばれ,当院は国内初の独立型ホスピスである.本稿では,ホスピスにおける心理的・社会的支援への取り組みについて,ソーシャルワーカーの立場から紹介したい.
当院におけるソーシャルワーカーの主な業務は,ホスピスケアについての問い合わせや相談への対応である.当院に入院するにはどうしたらよいか,という問い合わせをはじめ,ホスピスケアについて知りたい,ホスピスを勧められたので電話してみた,患者にどのように病気のことを伝えたらよいか,身内ががんと診断されてどうしたらよいかわからない,などという相談に応じている.
このような相談窓口をソーシャルワーカーが担当している主な理由は,ソーシャルワーカーが持つ視点にある.ソーシャルワーカーは,患者・家族が望む生活や人生を実現するためには,誰に相談し,どのようなサービスを活用したらよいか,という見方をする.この業務の主な目的は,当院の入院基準に当てはまる患者を選別したり,入院の手続きについて説明することではなく,患者・家族が現在困っていることについて相談に乗ったり,患者・家族が今後の生活をどこで誰とどのように送りたいのかに応じて必要な配慮をすることである.あくまでも患者・家族の希望が主体であり,患者・家族のニーズを当院のケアだけで満たすことができない場合は,院外のサービスを患者・家族に紹介している.
ソーシャルワーカーはこのような相談業務を電話や面談,電子メールで行っている.窓口はソーシャルワーカーであるが,相談業務は医師やナース,その他の職種との共同作業であることはいうまでもない.
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