特集 病院のカウンセリング機能
アメリカの病院におけるカウンセリング機能
篠田 知子
1
,
金井 菜穂子
2
1ハーバード大学公衆衛生大学院医療政策管理学
2ジョージワシントン大学大学院アートセラピープログラム
pp.289-295
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100588
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病院におけるカウンセリング機能は,近年その重要性が高まっている.その背景には,疾患構造の変化や高齢化により,「病気」の概念が身体的なものだけではなくより広い視点でとらえられるべきものに変容してきているということがある.実際WHO(世界保健機関)はその憲章前文の中で,「健康とは,身体的にも精神的にも社会的にも完全に良好な状態をいい,単に疾患にかかっていないとか虚弱でないということではない」と定義している.これらの変化に伴って,必要とされる医療の性質,そして病院に期待される役割も変わりつつある.
医療現場において,カウンセリングという言葉は様々な場面で様々な使われ方をしている(注1).本稿では,カウンセリング機能を患者や家族に対する「心理的・社会的サポート」として広義にとらえることにし,以下の三つに分けて,検討していきたい.
①相談に対するアドバイス
疾患,入院,社会復帰などに伴う患者の疑問に対し具体的なアドバイスを行うこと.
②不安などへの心理的・感情的サポート
困難な状況に直面している患者の不安,悲嘆や不満感情などを傾聴し,共感的に理解して心理的・感情的サポートを提供すること.
③心理・精神療法
心理的な問題を抱える患者に対し,心の中で何が起きているかの理解を促すことで症状を緩和し,必要に応じて人格の深い部分での変化を目的とする.
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