特集 デフレ下における病院
医療のデフレ下における対策
デフレ経済化の医療ニーズの開発
川原 弘久
1
1医療法人偕行会名古屋共立病院
pp.118-120
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100558
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日本経済と医療経済
現下の日本経済がデフレスパイラルに陥っていることは,多くのエコノミストが指摘しているところである.デフレの怖いところは経済成長がストップし,税収が落ち込むとともに企業の経営悪化のため人減らしや給与カットが行われ,健康保険収入が減少することにある.これらは医療費の総額調達に支障を来す.したがって,ミクロの医療経済は税収の落ち込みと健康保険料の徴収不足の両面から影響を受け,結果的に医療費の抑制を来すことになる.
さらに,日本における今日の景況の中で深刻なのは,信用収縮を起こしているところである.もとよりそれは金融不安に端を発しているが,その結果医療機関は資金調達に苦しむことになる.したがって,今日病院経営は深刻な状況にある.しかも4月の診療報酬改定からいまだ半年を経過したばかりであるが,既に賃金カットや賞与のカットがみられている.このまま次回の改定まで病院の経営を維持するのは大変困難である.しかも,2年後の改定もさらに医療費抑制を伴うであろう.なぜならば医療財源は枯渇しているからである.
今回,ならびに次回の改定において,厚生労働省は給与のカットや多少の人減らしを要求しているのではない.大幅なダウンサイジングを期待しているのである.すなわち,一般病床の減少であり,今日の改定で80万床に,次回の改定では60万床に減少させるといわれている.このアナウンスを確実に理解しないでいる医療施設は泥沼に落ち込む可能性がある.
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