特集 デフレ下における病院
医療のデフレ下における医療ニーズの開発
大隈 暁子
1
1国際医療福祉大学医療福祉学部医療経営管理学科
pp.100-104
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100554
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デフレ下における病院経営
1.デフレ経済社会と企業
日本経済は「デフレ」に陥り,「デフレ・スパイラル」も懸念される状況にある.バブル崩壊後の混乱と不景気は「失われた10年」といわれたが,その後見舞われたのが「デフレ経済」であり,物価下落に歯止めがかからず,全国の消費者物価指数は1999年10月以降,前年比で下落を続けており,デフレは 4年目に突入している.また,総合的な物価指標であるGDPデフレーターは,1994年以来,実体的には9年連続の減少を記録している.
このようにデフレが深刻化している中,今後の好材料も乏しく,また,「構造改革なくして景気回復なし」のデフレ政策下において,この景気低迷は長期化の様相を呈している.
一方,上場企業の2002年9月期中間決算発表において,リストラ主体の業績回復も多い中,2003年3月期通期で過去最高益を見込む企業も少なくない.多くの企業が減収減益で赤字決算に陥り,その存続さえ危ぶまれる危機的状況にある一方で,デフレ不況を成長の機会とし,ますます強くなった企業も存在している.その格差は,経営戦略に基づく経営革新に求めることができるが,それら成功企業の多くには,ブランド価値の向上に努め,顧客との関係性を再構築しながら,顧客ニーズの開発に邁進しているところに共通点を見いだし得る.
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