連載 医療ソーシャルワーカーの働きを検証する・9
生活困窮者(日雇労働者)の生活を支援するMSW
奥村 晴彦
1
1社会福祉法人大阪社会医療センター付属病院
pp.149-153
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100490
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当院は男性のベッドのみで,ほとんどが単身日雇労働者である.入院患者の7割強は簡易宿泊所,野宿,仮設避難所,飯場など,住所が一定していない.保険未加入,あるいは保険があっても自己負担が困難なため行旅病人として生活保護法の適用を受けて入院している.この場合原則的に,退院と同時に生活保護を廃止することが慣例的に行われており,退院後の生活に困る患者が多く,1970(昭和45)年開院当時より相談室の MSW4人が全入院患者の入退院調整にあたっている.特に最近では,安定した生活を望む患者が増え,退院援助に関わる時間も増大している.
高齢化と長引く不況から,失業者が急増し,全国的にも野宿者は大きな問題となり,ホームレス支援法など国の対策もなされてきた.全国一野宿者の多いあいりん地域では,1999(平成11)年頃から地域の労働者,簡易宿泊所組合,NPO など支援者団体による活動の中から,「野宿からアパートでの居宅保護へ」という支援の流れが生まれてきた.時期を同じくして,不況のあおりで簡易宿泊所の利用が減り,経営安定のためアパートへの登録変更がなされるようになり,簡易宿泊所から入居時の敷金・保証人のいらない転用型マンション(福祉マンション)が見られるようになってきた.特に相談員のいるサポーティブハウスの出現で,生活支援が必要な高齢者や傷病者の居宅保護受給が可能となってきた.
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