特集 検証 平成18年診療報酬改定
医療提供体制と診療報酬体系のあり方
長谷川 友紀
1
,
徳田 禎久
2
1東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野
2医療法人禎心会病院
pp.987-991
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100426
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
診療報酬支払い体系は,しばしば医療費抑制の文脈の中で議論されることが多い.しかし,国の経済の中に占める医療費の割合は,医療とその他の産業との相対的な競争の結果を示すものと解釈すべきであり,むしろ診療報酬体系は与えられた枠内で医療をどのような方向に誘導するべきかの観点から評価すべきである.昨今の,医療費抑制の議論は,医療が社会に対して適切なアピールを行うことができずに,十分な評価を受けてこなかった結果であると解釈すべきであろう.診療報酬体系の是非については,現在の医療の問題点,望ましい方向性について明らかにしたうえで,議論を進める必要がある.
診療報酬体系は,①出来高払い(医療サービス単位ごとに償還価格が定められているもの),②定額払い(1日定額,1入院定額),③人頭払い(医療機関を利用するか否かを問わず1年間健康管理を行うことに対する対価として支払われるもの),に大別される.さらに,医療費全体に上限を定める総額予算制度が併用される場合がある.現行ではDPC,療養病床では1日定額が用いられ,その他では出来高払いが主として用いられており,総額予算制度は用いられていない.①→③の順に,支払いのまるめの単位が大きくなっている.一般的には,まるめの単位が大きくなるほど,無駄な医療を廃し必要最小限の医療を行うインセンティブが強くなるため医療の標準化が進み,また,医療機関の財政リスクが高くなる.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.