特集 在宅医療を支える地域連携システムとは
第 5 次医療法改正における医療計画の見直しと医療機関経営
尾形 裕也
1
1九州大学大学院医療経営・管理学講座
pp.788-793
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100386
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2006 年 6 月 14 日に成立したいわゆる医療制度改革法(案)は大きく 2 つの部分からなっている.1 つは,健康保険法等,医療保険制度のあり方を見直す改正法であり,もう 1 つは,医療法等,医療提供体制のあり方を見直す改正法である.このうち,後者については,「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」(下線は筆者)という,法律の趣旨を示す形容句が(やや異例にも)付けられていることが注目される.こうしたあるべき医療提供体制の確保および推進を図る重要な政策ツールとして位置付けられているのが,今回の医療計画の見直し(医療計画制度の拡充・強化)なのである(法律案要綱・改正の趣旨).
医療計画は,1985 年のいわゆる第 1 次医療法改正において導入された制度であるが,その後,20 年以上にわたってその本格的な見直しは行われてこなかった注 1).医療計画と言えば,まず何よりも量的な病床規制という受け取り方が一般的であったと言えよう.今回はその初めての全面的な見直しということになる.後述するように,今回の見直しの結果,今後,医療計画は医療機関の経営に対しても大きな影響を及ぼす可能性がある.本稿においては,今回の医療計画の見直しのポイントと,それが医療機関の経営や地域医療のあり方に対して,どのような影響を及ぼすと考えられるかについて考察することとしたい.
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