特集 在宅医療を支える地域連携システムとは
今こそ在宅医療の真髄を具現するとき―「ライフケアシステム」25 年の経験から
佐藤 智
1,2
1ライフケアシステム
2日本在宅医学会
pp.795-799
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100387
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■なぜいま日本に在宅医療を支える家庭医の確立が必要なのか
世界の医療の歴史を繙くと,いずれの国でも,患者の家に医師が赴き治療にあたることが「医療」の重要な要素の一つとして,歴史は始まっている.特に病状が重くなると,この「往診,家庭訪問」が重要な手立てになる.医療の起源は,当然ながら「在宅医療」で,病院医療ではない.
「医学の父」といわれたヒポクラテスは「遍歴医」として各地を廻って患者を診た.ヨーロッパ中世には,修道院に病人が運ばれ修道女が看護し,そこに街の家庭医が招かれて医療をしたのが,今日の病院の原型である.この形式は欧米諸国では現在も引き継がれている.家庭医はしばしば病院に赴き,自分の患者を診察し,退院後は再び患者全体の責任を「家庭医」が持つ.そこでは「患者の顔」と「家庭医の顔」が常に向かい合っている.残念ながら現在の日本の病院では,その姿勢が急速になくなってしまった.
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