特集 持つ病院,持たざる病院―法人制度から資金調達まで
医療法人制度改革と出資持分―資金を持つことと持たぬこと:資金調達の選択肢
篠原 重男
1
1東日本監査法人
pp.456-459
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100310
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2006 年 4 月の医療法人制度改革においては,医療法人の非営利性を徹底した結果,医療法人の出資持分の概念が放棄された.その一方で,既存の出資持分には影響が及ばないため,今後,当面の間,出資持分について「持つもの」と「持たざるもの」が両立する現象が生じることになった.ここに至って,医療法人制度改革の理念とは裏腹に,既存の出資持分の価値が再認識されていることは皮肉なことである.
また,社会医療法人に対し,社会医療法人債の発行が認められたことにより,医療法人に対して直接金融市場からの資金調達の途が設けられたことは今回の医療法人制度改革の最大の成果である.医療法人が,自らの信用力で広く一般社会から資金を募り,良質かつ安定的な医療を以て社会に還元する仕組みが医療法に組み込まれたのであり,社会医療法人債は今後急速に普及するであろう.
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