特集 いい病院をつくりましょう
資金調達と財務の健全性
岩野 雅哉
1
,
望月 紀暁
1
1東京都民銀行本店営業部
pp.36-40
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100465
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金融機関の病院を見る目の変化
金融機関は病院をどのように見ているのか.これまでにも数多く論じられてきているが,「病院の実態は非常にわかりづらい」という共通した見方・認識がある.実際の融資に際しては,①病院の事業特性・不透明さから扱いづらいため融資を敬遠する金融機関,②不動産担保があり収入は公的保険により確保された公共性のある安定業種として融資をする金融機関,と取り組み姿勢は異なっていた.
金融機関では病院に対するイメージが優先し,患者増減の要因分析等,病院の実態そのものはあまり理解されてこなかったのではないか.昭和40年代後半~50年代は,老人医療費無料化を象徴として,病院は建物をつくれば病床数に見合った患者が集まり,公的保険で収入は担保されていた.病院が潰れるのは,過剰設備投資,放漫経営等に限られていた.しかしながらバブル崩壊以降は,金融機関側の体力消耗により融資が厳しくなってきた.病院側は,診療報酬の抑制,薬価差益の縮小等により,経営環境は厳しくなってきた.景気の長期低迷,金融機関の不良債権問題,病院を取り巻く環境の変化に伴い,金融機関の病院に対する取組み姿勢に変化が生じてきた.
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