連載 病院ファイナンスの現状・15
―間接金融(10)長期資金調達 8―病院長期資金調達の基礎知識
福永 肇
1
1国際医療福祉大学医療福祉学部医療経営管理学科
pp.928-932
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100116
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■銀行からの長期資金調達
資金調達では短期と長期とを借入期間が1年以下か,1年超かで区分します注1).すなわち長期資金調達は長年にわたって返済を行っていく借入といえます.
短期資金調達の場合と比べ,長期資金調達の場合では銀行審査は細部にわたりかつ審査内容も厳しくなります.病院への融資期間が長期間であることは返済リスクが大きくなる事を意味します.すなわち病院自体の経営リスク(事業リスク)のみならず,長期では,経済環境や医療環境が変わるリスク(金利リスク,医療制度変革リスク)も検討する必要が出てきます.また資金使途である土地購入資金,建築資金,設備投資資金などは,短期の運転資金や賞与資金よりも金額が嵩張るので,銀行もより慎重な審査を行うためです.
換言すれば病院側も長期資金調達に際しては,設備投資計画にて考えられるあらゆるリスクに対して慎重に検討しておく必要があるといえるでしょう.経営審査を業とする銀行が納得しない事業計画は,客観的事業リスクが大きいと謙虚に理解し,冷静に計画の再検討をしてみることが必要かと思います.「立案した計画の実行ありき」との頑なな姿勢は危険です.
なお,銀行員が「検討はしているのですが…」とか「難しいですね…」と,やんわりと回答をする時は「このままでは駄目」ということを意味している場合が多いので,ご留意ください.
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