連載 リレーエッセイ 事務長の所感・14
事務長職の行方
海北 幸男
1
1特定医療法人きっこう会(多根総合病院)
pp.251
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100265
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制度にのって40年
医療界にお世話になって40年近くになる.その間,医療界は保険制度のもとですべてが行われ,環境に多少の変化はあったものの,他の産業界が経験したような大きな変化はなかった.したがって事務長の業務も医事業務,会計業務,求人業務,人事管理,施設管理,トラブル処理など事務的業務の一部と院内の調整業務が主たる業務で,ただ制度だけを意識した,およそ経営管理から程遠い運営業務を行ってきたように思う.
変化の時代を迎えて
皆保険制度ができて45年近くになる.貧富の差に関係なく,良質な医療をいつでも,どこででも,しかも早く受診できるこの制度はいつまでも続けて行きたい良い制度だと思う.しかしこの制度を維持するにはお金がかかり,誰かがそのお金を負担せねばならない.誰が負担するかは議論のあるところだが,保険や税だけでなくこれまで以上に受益者に負担を求められことは避けられないと思われる.受益者の負担が多くなることは,患者が医療機関を選択する大きな要因の一つになるだろう.また医療技術の革新で早期治癒率の向上などによる患者の減少と相俟って,医療提供者は初めて体験する競争の世界に入りつつある.
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