特集 病院の質評価の選択肢は広がるか
医療質管理の取り組みの発展と現在
上原 鳴夫
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1東北大学大学院医学系研究科国際保健学分野
pp.102-107
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100235
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日本で医療の質が社会問題になることはこれまでにもたびたびあったが,医療界があらたまって質の管理や改善に向き合うことは最近まで久しくなかった.「質」を意識した取り組みを具体的に事業化してきたという点では,米国がもっとも長い歴史を持っている.
医療の質に対するアプローチの発展過程をあえて大別すれば,1)評価の時代:全米外科医会の病院標準化委員会の設立と,これを発展的に継承した病院認定評価合同委員会 (JCAHO) の活動,2)改善の時代:1987年に始まる Agenda for Change や NDP(National Demonstration Project) を出発点とする品質管理の医療への導入と展開,そして3)システムの時代:1999年の “To err is human” の刊行を契機とする医療安全,およびこれによって啓発された医療システム変革と質マネジメント・システムの模索,に区分できよう(図1).
個々の取り組みの具体的な説明は別稿にゆだねるが,本稿ではこれまでの流れを概観し,現在試みられているさまざまな質管理の方法をマッピングすることで理解の一助に供したい.
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