特別企画 第4回フォーラム医療の改善活動(2002年11月10日)より・5
―パネルディスカッション―安全な医療を目指して―質・安全の取り組みのこれまでとこれから(ディスカッション)・4
新木 一弘
1,2
,
大道 久
3
,
河野 龍太郎
4
,
北島 政憲
5
,
嶋森 好子
6
,
丸木 一成
7
,
三宅 祥三
8
,
飯塚 悦功
9
,
上原 鳴夫
10
1前・厚生労働省医療安全推進室
2広島県福祉保健部
3日本大学医学部医療管理学教室
4東京電力株式会社電子技術開発研究所
5宝生会PL病院
6京都大学医学部附属病院看護部
7読売新聞東京本社編集局医療情報部
8武蔵野赤十字病院
9東京大学大学院工学系研究科
10東北大学大学院医学系研究科
pp.855-859
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100700
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上原 まずは,医療関係者のご意見を聞かれた率直な感想を,河野さんと丸木さんにうかがいたいと思います.まずは河野さん,いかがでしょうか.
河野 個人的な印象ですが,医療システムはスタート時のシステム設計が悪すぎて,今やっとそれを見直すという整備段階にきたと思います.しかし,根本的な対策を取らない限り,医療システムの安全,つまり患者の安全管理の改善はなかなか難しいのではないかと感じています.まず,医療システムは情報システムだという認識をきちんと持つことであり,コンピュータを前提としたシステムを考えることだと思います.
根本的にわれわれの考え方を変えなければいけません.まず,実は私自身がそうであったように,国民が医療の現実を知らないことが一番の問題です.私は医療関係者がこれだけ劣悪な環境の中で働いているとは思っていませんでした.具体的にいうと,例えば発電所の原子炉の運転員が夜勤をして,同じ日にまた仕事をしていたら,皆さん,どう思いますか? また,フランスから成田まで飛んできたパイロットがそのまますぐに大阪へ飛ぶとしたら,皆さん方はそんな飛行機に乗りますか? こういうことが普通に起きているのが医療界です.国民がこうした状況をきちんと理解して,必要なものは負担して国にシステムの変更を要請することも必要ではないでしょうか.
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