特集 虐待新論――「なかったことにしない」ための援助論
虐待を否認する親――知的障害のある親の支援を通して理解する
宮口 智恵
1
1認定NPO法人チャイルド・リソース・センター
pp.24-29
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26010024
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I はじめに
筆者は現在,児童相談所(以下,児相)の委託を受けて,虐待等で分離になった親子の関係再構築プログラムを行うNPOで支援活動を行っている。児相の介入を経てそこで出会う親たちはさまざまな様相で現れる。しばしば「私は虐待していません」と虐待の事実さえをも否認した上で「早く子どもを返せ」と児相を攻撃したり,施設にクレームをつけたりする。また,関わる機関によって異なることを言い支援者を混乱させる。ついには,「子どもの安心安全」について,支援者と共通のゴールを持つことさえも困難になってしまう。このような親たちは,支援を求めているようには見えず,支援する方も疲弊する。
これまで再構築プログラムのなかで出会ってきた親のうち,「知的障害」を有すると思われる親が半数以上であった。本稿では,「虐待」という事象により行政が介入し,子どもと分離することになった知的障害のある親の事例について3つの視点――①知的な課題,②親の抱える恐れ,③環境としての「親から見える世界」――からの理解と支援のありようについて考えたい。

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