The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 21, Issue 10
(October 1987)
Japanese
English
特集 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
ALS患者への在宅チームアプローチ―PT・OTの立場から
Home Visit Team Approach to ALS Patients Living in Community: Physical Therapist's and Occupational Therapist's View
市原 京子
1
,
市田 和美
1
,
笠原 良雄
1
,
田中 勇次郎
1
,
松田 茂雄
1
Kyoko ICHIHARA
1
,
Kazumi ICHIDA
1
,
Yoshio KASAHARA
1
,
Yujiro TANAKA
1
,
Shigeo MATSUDA
1
1東京都立神経病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation, Tokyo Metropolitan Neurological Hospital.
pp.649-654
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103873
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は,次々に運動機能が失われていき末期には,わずかに外眼筋と括約筋が残るだけとなる.その進行の早さに,患者や家族はつねに不安にさらされ,機能が失われるたびに新しい事態に直面させられる.ある患者の夫は,在宅診療に向けての話し合いのとき『先生たちにとっては当たり前のことでも,私や妻にとっては初めてのことばかりです.何もかも,わからないことばかりです.』と我々スタッフにくってかかってきた.進行していくという将来の予測の立てにくい情況の中で,患者も家族も混乱し,不安でいっぱいなのであろう.
治療法の確立されていない現在,このようなALS患者に対して,リハビリテーション(以下リハ)はどのような援助ができるのだろうか.神経難病に対する治療,研究,教育など,総合的な医療の発展を目指して開設された入院専門病院である当院は,開院後7年たとうとしている.その間,我々理学療法士(以下PT),作業療法士(以下OT)もALSのリハにかかわってきた.その経験を通し,どのようにALS患者へ対応しているか,どのような問題が有り,どう対処しているか,今後の課題などを在宅診療を中心に述べてみたい.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.