プログレス
老人の結核
高瀬 昭
1
1結核予防会結核研究所附属病院
pp.189
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103751
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(1)最近の結核状況
我が国の最近における結核状況の急速な改善は,結核医学の進歩とそれに伴う予防,診断,治療技術の方法が開発され実施されたこと,行政面での国の結核対策の推進と,国民の対策への理解と協力等によるものが大きい.表1は,結核患者を登録管理する制度と命令入所制度の枠の拡大が実施された昭和36年と昭和58年との結核統計資料の主なものを比較してあるが,いずれも1/5から1/7に減少していることが理解できよう.しかし一方では,結核という1つの病気でまだ1年間に5千人近くの人が死亡し,また1年間に結核患者として6万人も新しく発生していることからも,まだまだ油断は出来ない.結核まん延の状況では,結核の減少は若年者ほど顕著で,高齢者では減少の速度が遅いので,相対的には結核患者は高齢者に偏在してきており,昭和60年には1年間に新しく登録される結核患者数も年末登録患者数もそのほぼ半数が60歳以上の老年層で占められるであろうと予測されている.
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