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特集 体力増強と評価
脊髄損傷者の体力増強と評価―車椅子マラソンを中心に
Physical Fitness in Paraplegics: Program and Evaluation
高橋 寛
1
,
小林 順一
1
Hiroshi TAKAHASHI
1
,
Junichi KOBAYASHI
1
1太陽の家
1Japan Sun Industries.
pp.737-746
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103434
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Ⅰ.はじめに
外傷性脊椎損傷に合併して発生する脊髄損傷は,リハビリテーション医学において重要な疾患であり,近年リハビリテーションの効果も著しい.
第1次世界大戦当時の米英陸軍の統計では,その80%が2~3カ月以内に死亡,ごくわずかの生存者も廃疾者としての生活を送っていたが,第2次世界大戦以後は,7.5%と激減した.特にグッドマンは,急性期・症状安定期の理学療法に加え,充分な医学的管理のもとにスポーツを積極的に取り入れた.その当時(1946~1962),頸髄損傷などを除外した1700名の就職対象者の85%が就業(その57%は終日勤務)の成績には驚かされる.日本も赤津2)によれば,胸腰髄損傷者60名のうち,社会復帰率83.3%,就業率50%と20年前のグッドマンの統計に追いついている.むろん,生理学・薬理学等の地道な研究と一貫した治療体制があったわけであるが,スポーツにより向上した体力の果した役割も見のがせない.
そこで,脊損者の体力について,本年で5回目を迎える大分国際車椅子マラソンをはじめ,バスケットボールなどの競技スポーツを通じて考えてみたい.
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