紹介
理学療法プロセスの展開における一つの試み
宮本 省三
1
,
板場 英行
1
,
高光 重信
1
,
北里 堅二
1
1高知医療学院
pp.268-274
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103314
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はじめに
理学療法は,その歴史的展開の中で,アート(art)としての存在と価値を十分に確立する段階にまで発達してきた.そして,理学療法を学問的に体系づけることへの関心も,独自の系統的知識や治療手技の科学的根拠を明らかにしようとする努力によって高まってきている.しかし,学問的体系化の意味を文献検索により理解しようと試みると,しばしば混乱や落胆の状態に陥る.なぜなら,これまで学問的体系化の基盤ともいうべき“理学療法過程の展開”を理論的に分析したものが極めて少ないからである.
著者らは,理学療法過程が理学療法実践の方向性や妥当性を示唆するものであるならば,その理論的展開こそが学問的体系化への第一歩であり,理学療法過程をいかに理論化し得るかということ自体が,実は治療の質を厳しく問うという根源的テーマに深く連結していると考えている.
今回の小論で,この課題の全てを解明するつもりはないが,理学療法過程の概念枠組と構成要素に関する私論を提示したうえで,その理論的展開を試みたい.したがって,テーマの性質上,従来の実験的研究論文にみられるような形式は取っていない.また,本小論の発想や根拠は,多くの看護論文より得た知識を出発点にしている.
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