プラクティカル・メモ
フック付T字杖の紹介
稲川 利光
1
,
島津 誠哉
2
1千鳥橋病院
2島津義肢研究所
pp.134-135
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103272
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はじめに
杖を使用している脳卒中片麻痺患者,とりわけ患手が廃用手であるような患者にとって,杖の存在は歩行している時以外においては逆に不都合なものとなっている.例えば,手すりを使用して階段を昇降する場合や,トイレで用を足す場合などがそうである.「トイレで小用中,壁に立て掛けていた杖が便器の方に倒れてきて杖に小便がかかってしまった.」と訴えてきた男性の患者がいた.決して笑ってすませられる話ではなく,その話を聞いた以後,当院では片麻痺患者の杖にはADL上での便宜をはかる目的で,杖をいろんな所にぶら下げられるようにフックを付けて処方することとした.処方して以後,多くの患者から杖のフックが非常に便利であるという声を聞いている.
今回,このフック付の杖とその使用法を紹介する.また,この杖のフックを利用して上衣のファスナー操作も簡単に行えるため,これも併せて報告する.
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