The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 19, Issue 2
(February 1985)
Japanese
English
特集 脳卒中患者のフォローアップ
脳卒中後遺症者のフォローアップ―車椅子使用度と在宅者との関係
Follow-up Study of Poststroke Patients.: The Use of Wheelchairs
子安 元子
1
,
松井 猛
1
Motoko KOYASU
1
,
Takeshi MATSUI
1
1神奈川県総合リハビリテーション事業団七沢病院
1Kanagawa Rehabilitation Center, Nanasawa Hospital.
pp.85-88
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103258
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はじめに
当院では一年間に約100台の車椅子を製作しているが,その内の約60%(約60名に相当)は,脳卒中(CVA)患者で自宅退院する例に処方されるものである.
車椅子の処方・製作に当っては,CVA患者の心身の機能,家族関係ならびに介護に対する家族の姿勢,家屋状況,車椅子の使用目的と予想される退院後の生活パターンなどを,面接あるいは訪問調査を行った結果を分析しリハビリテーションチーム内で十分検討される.しかし比較的障害認知の困難なCVA患者とその家族にとって,車椅子導入という現実は少なからず抵抗を感ずる事態であることは否定できない.また入院中に独立歩行を獲得し得なかったCVA患者は,退院後かなり早期に機能低下が認められ,かつ死亡率も高いという横山1)の調査からも,製作側にとっても退院後の車椅子使用の採択を下すことは,かなり悲観的な予想のもとに行われることも事実である.
これらの事実を確認するために,かつてわれわれは当院で車椅子を製作し自宅退院したCVA患者に対し,アンケートによる使用状況調査を実施した.その結果われわれの予期に反し,はるかに高い使用率が認められたことは既に報告した.
今回はさらに訪問調査を実施し,実際の症例を通して車椅子の使用状況を具体的に抽出するとともに,車椅子をより有効に使用する要因―言いかえれば,歩行困難なCVA患者の退院後の家族生活を左右する因子についても若干の検討を加えた.
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