プログレス
車椅子の最近の進歩
木村 哲彦
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
pp.189
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103058
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大正時代の末期,聖ルカ病院に輸入された米国産の車椅子は我が国の人力車製作業者によって似通ったものの作製されるモデルとなったと云われる.同様の形状をした木製大型車椅子が傷痍軍人を中心に昭和20年代まで使用された.昭和30年代に入り金属製折たたみ式の車椅子が使用されるに至ったが,これも米軍病院で使用されていた金属車の真似で,人間工学的な研究の結果作製されたものではなかった.この頃のものはほとんど前方大車輪であった.昭和39年に開かれた東京パラリンンピックに集った諸外国の新しい高性能の車椅子に目を見張った関係者は国立箱根療養所(現国立箱根病院)を中心に人間工学的な基礎研究を始め,後に国立身体障害センターなども研究を始め,その結果が最初の日本工業規格(JIS T 9201,9202)として昭和46年に結実している.以後標準3型とともに,採寸による個人使用車もJIST9201として昭和52年に認められるよう改正された.これは人間工学的にエネルギー消費の最も少ない設計になっており,品質規制と併せ一躍世界におけるトップレベルに位するように発達した.現在も基本的に,補装具としての車椅子はJIS型で設計されている.最近では東京都補装具研究所を中心に国際規格ISOとの整合の問題が研究されるに至っているのが現状である.
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