特集 カウンセリング
<随想>私のカウンセリング経験
カウンセリング的態度と作業療法
澤 治子
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
pp.831-832
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102993
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はじめに
私がカウンセリングという言葉を耳にしたのは,学生時代(1951年~1955年)である.当時,ロジャース(Rogers CR)が提唱した非指示的カウンセリング(Nondirective Counseling)が日本に紹介され,臨床研究が盛んに行われていた.私はロジャースの基本的仮説に心が強く動かされ,国立精神衛生研究所で,非指示的カウンセリングや遊戯療法の勉強をさせてもらった.この時の経験が後に作業療法士になってからも生かされた.すなわち,患者の成長への力を信じていたので,患者を受容することができ,患者と良きラポートを保つことができたように思える.作業療法は,望ましい治療者・患者関係の上に成立するものであると思っている.更に,カウンセリングは,通常,その方法として,面接場面で言語を介して行われるが,私の行ってきた作業療法は,作業活動とカウンセリング的な治療者・患者関係(患者の成長への欲求を発展させるように許容的な雰囲気をつくり,患者の感情をリフレクトし,自己洞察,自己受容の発展を援助する)を合わせたものであった.
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