プログレス
脊髄小脳変性症における薬物療法の最近の進歩
真野 行生
1
1奈良県立医科大学神経内科
pp.627
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102928
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脊髄小脳変性症は臨床的には運動失調を主症状とし,病理的には小脳およびそれに関連する神経経路の変性を主体とする原因不明の変性疾患の総称である.したがってこの範疇には種々のものが含まれており,いくつかの病型に分けられている.Friedreich病で代表される脊髄型,オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA),晩発性小脳皮質萎縮症(LCCA)などの小脳型,および両者の中間にあたる脊髄小脳型のほか,歯状核―赤核―淡蒼球―ルイ体萎縮症などの小脳核とそれに関連した諸核の変性症などがある.症状は運動失調の他,OPCAでは起立性低血圧,排尿直腸障害などの自律神経症状や錐体外路症状,脊髄小脳型では痙縮,脊髄型では脊柱変形,足変形,末梢神経障害を随伴することがある.経過は慢性進行性で,感染症,消化器障害,栄養障害,心不全などが経過に影響している.
本疾患に対する薬物療法は近年飛躍的に進歩している.各症状に対する薬物療法について述べる事とする.
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