The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 16, Issue 2
(February 1982)
Japanese
English
研究と報告
片麻痺者のアームスリングについて
Arm Slings for the Hemiplegic Patient
入村 文子
1
,
関谷 修
1
,
島田 邦彦
1
,
大川 嗣雄
1
Ayako NYUMURA
1
,
Osamu SEKIYA
1
,
Kunihiko SHIMADA
1
,
Tsugio OHKAWA
1
1横浜市立大学病院
1Yokohama City University, School of Medicine.
pp.138-144
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102584
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はじめに
今回の調査報告の目的は,片麻痺者の肩関節亜脱臼に対するアームスリングに関し,その使用状況を紹介することと,問題点を明らかにすることにある.
片麻痺者の亜脱臼に対するアームスリングの是非は,かなり以前から論じられてきた.Bobath1)や武富2)は,片麻痺者のスリングの使用に関し批判的で,スリングよりむしろ肩の挙上や立位訓練を奨励している.彼らによれば,これらの訓練を行うことによって亜脱臼は起こらないとしている.しかし,多くのケースにおいて,麻痺出現当初より上肢の重みを支持するだけの筋の活動はなく,我々は,片麻痺者にとってスリングは必要ではないかと考えている.そこで,当科においては,OTにオーダーが出された時点で,上腕骨頭を適切な位置に保つことができ,なおかつ装着が容易なダクロンテープによる片側支持タイプスリングを作成している(図1).また,スリング装着時手関節が掌屈位や尺屈位にならないために,long opponens splintを併用している.しかし,果してこのスリングが片麻痺者に対し最適なものであるのかといった疑問があった.そこで我々は,片麻痺者のアームスリングについて検討したいと考え研究を行った.今回は全国各施設における実態調査を中心に,アームスリングの現状とその問題点について報告する.
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