The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 14, Issue 10
(October 1980)
Japanese
English
特集 小児の脊髄障害
小児の脊髄障害の実態―原因を主体として
Paraplegia in Children with Relation to Aetiology
陣内 一保
1
,
森井 孝通
1
Kazuho JINNAI
1
,
Takamichi MORII
1
1神奈川県立こども医療センター
1Kanagawa Children's Medical Center.
pp.667-672
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102239
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はじめに
小児のリハビリテーションの発展は,ポリオとのたたかいに負うところが大きい.しかし,昭和34年以降の生ワクチンの普及により,ポリオの発生は着実に減少の一途をたどり,既に小児の年代からは姿を消した.ポリオにかわって脳性麻痺が相対的に増加して,小児のリハビリテーションの主たる対象となり,最近の早期療育の波に乗って,ますます首位の座を固めつつある.このような逆転現象の中にあって,二分脊椎を主体とする小児脊髄障害の肢体不自由児の中に占める比率も増加する傾向を示している.
表1は昭和38年から55年までの17年間の全国肢体不自由児施設における病類別在園児童数の推移を,ほぼ5年ごとにみたものである.この間にポリオ,先天性股関節脱臼,骨関節結核は,公衆衛生ならびに診断・治療の進歩により著しく減少し,脳性麻痺の比率が約2倍に上昇している.脊髄障害(脊損,二分脊椎)は,全体に占める割合は低いが約3倍となっている.しかも対象児童数から換算した実数では,17年間に12倍近い伸びをみせ,小児のリハビリテーションにおいて,脳性麻痺につぐ重要な疾患となりつつある.
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